2023年5月24日話すことよりも大事なことは『聴く』こと
★話すことよりも大切なことは『話を聴くこと』
「人と話をしていて、どうも話が噛み合わない」
「一生懸命に話しているのだが、相手が理解してくれない」
こうした悩みを持つ人は、「自分の話し方がよくない」と考えてしまいがちです。しかし、そういう人はかなりの確率で、話し方以前に話の聴き方に改善すべき点があります。
どうして話が噛み合わないのでしょうか。どうして理解してもらえないのでしょうか。その大きな原因の一つは、『相手が聴きたくない話をしている』ことにあります。人は話なら何でも聴くのではありません。自分が聴きたい話、興味がある話を聴こうとします。従って、相手が聴きなくない話をどんなに上手に話しても、また一生懸命に話しても、聴いてもらえないのです。
★話し上手は聴き上手
話し方の本を読むと『話し上手は聴き上手』という言葉を目にします。この言葉にはどういう意味があるのでしょうか? 辞書を引いてみると『本当に話がうまい人は他人の話を聴くのもうまい』と書いてあります。何となく分かったような気もしますが、この説明では「なぜ話がうまい人は人の話を聴くのもうまいのだろう?」という疑問が残ります。この言葉について、私は次のように解釈しています。
話しがうまいと思ってもらうには、相手が自分の話に納得、共感してくれることが必要です。そのためには、話す人は相手が考えていることや感じていることに沿って話をしなければなりません。つまり、聞き手の感情や思考をつかんで、それに沿って話をすることが肝要です。先に述べた、相手が聴きたい話をすることが話し上手の前提になるわけです。
そして、相手の感情や思考をつかむには、当然ながら、まず相手の話をきちんと聴くことがとても大切です。そうすることで話し上手になれるのです。
★聴き上手の例
しかしながら、相手の話を聴くということは実際はなかなか難しいようです。人間には本来「話したい!」という欲望があるからです。それは日常会話でも端的に表れます。
A:「この間、ディズニーランドに家族と行ってきたんだよ」
B:「ディズニーランドか! いいね~。でも、人が一杯でとても混んで込んでたんじゃない?」
A:「そうなんだよ。特に外国からきた人が多かったな~」
B:「ああ、やっぱりね~。この頃はどこに行っても人が多いよね。最近は通勤電車もメチャクチャ混んでるし」
A:「そうそう、すっかりコロナ前に戻ったね」
上の例では二人の会話が噛み合っていているように思われるかも知れません。でも、実は、Aさんはディズニーランドで娘さん二人が大喜びしてはしゃいだ姿がかわいくて仕方がなかった、という話しをしたかったとしたら、どうでしょうか?
Bさんが人が多い話をしてしまったために、Aさんは本来話したかった娘さん達の話ができていません。これではBさんは聴き上手とは言えないでしょう。
★話の方向性が見えるまで聴く
聴き上手になるためには、話しの方向性が見えるまで自分の考えで話しを進めないことが肝心です。
A:「この間、ディズニーランドに家族と行ってきたんだよ」
B:「ほう、家族でディズニーランドか~。いいね~。で、どうだった?」
A:「いやぁ、久しぶりなので娘達が大喜びでね~。嬉しそうな顔を見ているとこっちまで嬉しくなったよ!」
B:「そうだね、やっと普通に楽しめるようになったもんね。女の子はディズニーランド、好きだよね」
A:「そうなんだ。特にね、~~~」
BさんはAさんがどんな話をしたいのか、ある程度わかるまで相手の話したこと以外のことは言っていません。話を繰り返しているだけだと、相手の話を聴いていないようで物足りないと思われるかも知れませんが、話したい話題がある相手には全く気にならないものです。この例では話を聴くだけで終わっていますが、相手の言いたいことをつかんだので、Bさんはこの後、自分の話をしても話しが噛み合います。
★話を聴くことはビジネスでもとても大切
まず相手の話を相手の立場に立って聴き切り、それから自分の話をする。これはビジネスでも極めて重要なことです。相手の言いたいことをつかまずに一方的に自分の言いたいことを話したのでは、まとまる話もまとまりません。
ぜひ、話しをする際には、まず、相手の話をしっかり聴くことを意識してください。
★コミュニケーションスキルを磨きましょう!
ベーシックコースは、コミュニケーションスキル全般についてトレーニングをしていただけるコースです。話をする目的は、相手に自分の話に共感してもらうこと、場合によって話した通りに動いてもらうことです。このコースでは、そのために必要なあらゆる要素を理解した上で、スキルとして身につけていただいています。ぜひ受講をご検討ください!